フィルムの知識

写真を趣味や生業にしている人であれば、写真プリントよりもフィルムの方が「オリジナル」で、これを元にいくらでもプリントなどを作れる貴重なものという考えはわかってもらえると思います。

撮影済みのフィルムを写真店に出すと、現像されてこのような形態でしあがります。これ以外に、写真プリントが作られます。フィルム現像とプリントを同時に注文することを「同時プリント」といいます。もちろん、後から追加でプリントする「焼き増し」もできます。
しかし、一般の方にとってフィルムは、余分なモノ、面倒なモノ以外の何物でもないでしょう。思い出すのは、1980年代頃の使い切りカメラのブームです。使い切りカメラはもちろんフィルムを使っているカメラなのですが、これを使い始めた女子高校生あたりは使い切りカメラを写真店に出して、フィルム現像と同時プリントができたらフィルムは捨ててしまう(!)ということに驚いたことがあります。今にして思えば、これが携帯カメラの写メにつながっていくわけですが、要するに欲しいのは「プリント」であり、その途中段階はまったく不要なのです。
そりゃそうでしょう、使い切りカメラに使われているネガフィルムなど、橙色をして、何が写っているかさえよくわからないのですから。

というわけで、写真にあんまり興味がなかった方や、若い人には、写真フィルムって何? ということをわかっていたたきたいので、フィルムの種類について整理しておきます。

写真フィルムは大きく3種類あります

一般的に使われている写真フィルムは「35ミリサイズ」と呼ばれ、フィルムの幅が35㎜あります。で、カメラ自体がこのフィルムを使えるように作られていて、35ミリカメラといわれています。画面のサイズは、約24×36㎜です。このサイズは今でも名残があって、フルサイズ・デジタル一眼レフなどに引き継がれています。
また、1970年前後は、フィルムがまだまだ高価でしたので、この画面を半分の約17×24㎜にして、倍の枚数を撮影できるハーフサイズカメラも使われていました。これ以外にも、ブローニー(中判)や4×5(大判)フィルムなどいろいろありますが、特殊ですので割愛します。

そしてこの35ミリフィルムは、種類によって3種類に分けられます。
1)もっともポビュラーな、カラーネガフィルム(カラープリント用)
2)古くからある、モノクロフィルム(モノクロプリント用)
3)プロ用といわれた、リバーサル(スライド/ポジ)フィルム(スライドショーや印刷原稿用)

カラーネガフィルム

35ミリサイズのカラーネガフィルム。
一般的に使われていたフィルムは、ほとんどが「35ミリサイズのカラーネガフィルム」です。35mmはフィルムの幅で、両端にフィルム送り用の穴(パーフォレーション)があります。全体的に橙色をしており、これはプリントの色をよりよくするための工夫なのですが、色や濃さが反転した画像になっていて、何が写っているかは、ほとんどわかりません。画像がネガティブなので、ネガフィルムといいます。
色と濃さ(白さ黒さ)が反転していますので、これを同じような性質をもつカラー印画紙に撮影して現像することで、色と濃さが再反転して、普通の色や濃さのプリントができあがります。つまり、カラーネガフィルムの像を、再度撮影して現像いるようなものですので、この段階で色や濃さを自由に調整することができます。写真プリントの仕上りが満足できないのは、撮影時の問題もありますが、プリントを作る時点の問題も決して少なくはなかったのです。

モノクロフィルム

モノクロフィルム。モノクロプリント用で、色は写らず、濃淡だけで画像が記録されています。
色は写らず、光の強弱(濃淡)だけで画像を記録するモノクロ写真が一般的でした。カラーフィルムが普及する1970年以前は、モノクロ写真の全盛期でした。モノクロは古いイメージがするのは、こうした歴史的背景でしょう。モノクロ写真は写真の歴史そのものであり、画像の耐久性にも実績があります。カラーネガフィルムとは、現像処理が異なりますので、同じようには処理できません。

リバーサルフィルム

リバーサルフィルム。スライドフィルム、ポジフィルムなどとも呼ばれます。
フィルムの現像の仕組みでは、カラーネガフィルムのように色や濃さが反転した像しか作れません。これを、「反転(リバース)処理」することで、見た目の色や濃さをフィルム上に再現するのがリバーサルフィルムです。スライドショーに使われるので、スライドフィルム。ポジティブな画像(正像)が得られるのでポジフィルムとも呼ばれていました。プリントと以外、透過光で観察しなければなりませんので、専用のビュアやプロジェクターなどが必要です。

フィルムサイズの種類あれこれ

アルバムやプリントの他にフィルムのデータ化もしてもらえる節目写真館は、扱えるフィルムの種類も多く、プロカメラマンにも十分使えます。このサイトには、見たことあるーという形状のフィルムがいろいろ掲載されています。こんなのもあったねー、という程度でみていただければよろしいかと。上段3種は35ミリです。これらはサイズ(形状)が異なるだけで、それぞれにカラーネガ、モノクロ、リバーサルなどの種類がありました。

節目写真館が対応するフィルムの種類はたいへん豊富です。