4つの方法

どのサイズ、どの種類の写真フィルムでもデータ化できます。単純にいえば、見えるモノなら、とりあえずデータ化は可能です。
やり方は大きく分けて4種。

1)業者に依頼する。
2)スキャナを使う。
3)スマホを使う。
4)カメラを使う。

写真プリントのデータ化と同じで、フィルムが大量にあるなら、さっさと業者に任せた方が楽です。4)のスマホを使うは別にして、カメラやスキャナが手元にあればコスト安ですが、これらを揃えてからとなるとかなりの金額になります。自分の手で丁寧にがんばってデータかするぞ! その方が安上がり! という意気込みは理解できますが、これを実現できる人はそう多くはないのでは? と正直思います。カメラもそうですが、買ったはいいが数回使ったら飽きる、あるいは使い方が難しかったり、やっぱり手間が掛かって続かない、ということが多いのです。

フィルムの場合は原板が小さいために画質の善し悪しは、いわゆる「解像度」ではなく「画素数」で示されることが多いです。300万画素でL版、600万画素で2L版までのプリントが作成できる画質、と書かれたりしていますが、これは案外過小評価ではないかと思います。300万画素でA4サイズくらいのプリントを作っても十分よく見えます。600万画素ならA3サイズくらいまでOK。ですので、よほど画質を気にされる方でないなら300万画素で十分。150万画素でもハガキサイズは十分プリントできます。後はお財布との相談で。

尚、1)は何もいわなくてもカラーネガからポジ画像データになります。2)はその設定をするだけ。しかし、3)4)の場合は、カラーネガをポジ画像に変換する「画像編集(加工)」の手間が掛かります。この点も要注意。また、よほど色調・階調にこだわりたいなら、高級タイプの2)スキャナを使うか、4)で自分で調整するしかありません。

節目写真館が対応するフィルムの種類はたいへん豊富です。
節目写真館のデータ化サービスは、さまざまなタイプの写真フィルムに対応しています。業者によっては35ミリフィルム以外の対応が分かれますので、要確認です。
節目写真館が対応するフィルムの種類はたいへん豊富です。

スキャナを使ってデータ化

エプソンのフラットベッドスキャナ「GT-F740 」などは、フィルムのスキャンにも対応しています。
プリントをスキャンするのにも使う「フラットベッドスキャナ」の一部(比較的高級機)には、フィルムのスキャンもできるタイプがあります。蓋の裏側に光源がついていて、それでフィルムを透過してスキャンする仕組みです。大きな面でスキャンできるため、大きなフィルムサイズに対応できる他、小さなフィルムの場合は、フィルムをまとめてすきゃんじ、自動的に1コマずつ分けてデータを保存できる機能などもあります。


35ミリフィルム専用の廉価なスキャナ「ケンコーKFS-1450」
35ミリフィルムのスキャンに特化した機材も多く市販されていて、概ね右の写真のような格好をしています。5000円くらいの廉価なものから、2万円くらいの物、あるいはそれ以上のタイプなどさまざまなあります。スキャナ自体にモニタが付いていて、パソコン不要でできるタイプが多く、手軽にスキャンできます。

カメラを使う

ニコン フィルムデジタイズアダプター ES-2
一眼レフカメラなどをお持ちであれば、レンズの先端にフィルムをセットできる装置を使うことで、手軽にフィルムのスキャンができます。
ただし、使えるカメラやレンズに制約があり、多くの場合、特殊な「マクロ(接写用)レンズ」が必要です。またカラーネガやモノクロネガのデータは、自分で画像をポジ画像に変換する必要もあります。
既にカメラやレンズを所有しており、画像編集ソフトもある程度使える方向け、です。


接写用ベローズ
余談ですが、フィルム時代に、フィルムをフィルムでコピーするための機材がこれです。接写用の蛇腹を使って、まさにフィルムをフィルムで撮影します。カメラをデジタル一眼レフに変えれば、データ化するための機材になります。
35ミリカメラに対応している機材ですから、フルサイズ一眼レフでないと上手く撮影できないでしょう。

スマホを使う

ライトボックスの上にフィルムを置いてスマホで撮影するだけ。
あまり難しく考えず、フィルムを白く光る箱(ライトボックスなど、イラストのトレーシングに使うものなど)の上に置き、それをスマホで撮影するだけで、とりあえずのデジタル化は可能です。多くの人が思っているよりもスマホの画質はよいので、これで十分使用できます。
一つだけ、ピント合わせにコツがあります。ズームを使わず、スマホをフィルムに近づけすぎるとピントが合いません。スマホを少し離し、ズームを使って拡大するのがポイントです。
窓のガラスにフィルムを手で押しつけて撮影することもできますが、背景がぼんやり写ってしまいます。このため、背景が均一に白い場合、あるいはキレイなすりガラスに限るでしょう。


上の方法で撮影した結果です。十分使えます。
リバーサルフィルムならこのまま画像データとして使えますが、カラーネガフィルムやモノクロフィルムの場合は、色や濃さを反転させる必要があります。
もしかすると、それに使えるアプリがあるかもしれません。

カラーネガの色と濃さを反転させる

フォトショップや現像ソフトなどが必要ですが、カラーネガフィルムの画像の反転について簡単に紹介しておきます。細かなことを言い出すと、大変にやっかいです。
撮影時にJPGにしたデータからの編集よりも、RAWデータから編集する方がよい結果になります。

これが元のネガフィルム画像です。
色が反対(補色)になり、白黒が逆転しています。人が写っていることくらいしかわかりません。

ステップ1)橙色を基準にホワイトバランスをとる

スポイトツールを使って橙色をグレーに補正。
スポイトツールなどを使って、ベースの橙色を基準にホワイトバランスを設定します。[/caption]まず、ベースの橙色を補正して、グレーにします。基本的には、スポイトツールを使って橙色の部分を指定するだけです。

ステップ2)白黒(濃さ)を反転させる

「階調の反転」や「トーンカーブ」を使って、白黒を反転します。

「階調の反転」や「トーンカーブ」を使って、白黒を反転します。これでだいたい、普通に見える色調になります。

ステップ3)色調・階調を整える

「トーンカーブ」などを使って好みの色調・階調に調整します。

ここから先は、好みの問題です。通常の画像データ編集と同じで、かなり思いのままに変更できます。

完成。

元データがJPGからだと、ここまでキレイにはなりませんでした。(写真は、ラムダの佐久間さんです。)

総じて、数カットならいざしらず、大量に処理する場合は、さっさと業者まかせにした方がよいのでは? と思います。そもそも、何がどう写っているのかわからないカラーネガフィルムなら、一度データかするか、プリントを作らないと、どの写真を残すかさえ判断できませんから。こうしたセレクトを兼ねるのであれば、簡易型のフィルムスキャナがずいぶん役に立つかもしれません。